EPISODE OF TIME SLIP @ DARTFORD.1961

遠い昔を旅した時の話だ。

それは1961年、ブーツに浸みる雪が冷たい、ひどく寒い夜だった。

俺はダートフォードの街の片隅にあるPUBの前で、偶然ギグバッグを抱えたキースとすれ違ったんだ。

ハードなリハーサルを終えたばかりで、彼はひどく疲れていて不機嫌そうだったが俺達は一緒にそのPUBに入って行った。

彼はスコッチをストレートで一気に煽ると、その鋭い眼差しで俺を睨みつけながらこう言った。

「この真っ黒な“ズタ袋”に何が入っているか知ってるか?」

「ああ。いつもの355ブラッキーだろ。」

「リヴォルバーさ。俺のロングリヴォルバーに決まってるだろ。これからまたぶっ放すんだよ。」

「だが、いつだって弾は5発なんだろ。」

「そうさ。だが言っとくぜ。6発目を抜いてるのは用心のためなんかじゃねえ。

その方が具合良く響いて最高の音で鳴るんだよ。お前もギター弾きなら良く憶えてろ。」

そう言って彼は意味ありげに片方の唇で笑ってみせた。

「じゃあ、その“6発目”の埋め合わせに俺がその“ズタ袋”に銀の弾を200発ぶちこんどいてやるよ。」

「ああ、上等だ。」

俺は別れ際にグラスに残ったスコッチを一気に飲み干して言った。「ダンデライオンによろしくな。」

「いい響きだな。で、誰だい? そいつは。

「ああ、いいんだ。彼女はまだ生まれてなかったな。」

俺が店を出るときすれ違った若者が叫んだ。

「やあ! 驚いたなキースじゃないか! 久しぶりだな! どうしてるんだい!?」

「ああ、ミックか! 元気そうだな。 どうしたんだ、そのレコードは? ・・・マディじゃないか!」

「そうだ!キース。今から仲間とジャムらないか?!」

そしてこの時2つの石は一つになって大きく転がり始めた。

あれからかなりの時間が流れ、彼は今もその銀の弾丸をぶち込んだギグバッグを背負っている。

“6番目”の弦を外した355ブラッキーをしまい込んで。

まあ、・・・かもしれないという話さ。